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福岡高等裁判所 昭和33年(う)1177号 判決 1959年2月17日

被告人 徳屋政義

主文

本件控訴を棄却する。

当審における未決勾留日数を本刑の残刑(原審における裁定並びに法定通算の未決勾留日数を控除した残余の刑)に充つるまで算入する。

理由

弁護人の控訴趣意第二点及び被告人の控訴趣意四並びに其の三について。

しかし、本件折込ナイフは普通一般のものとは著るしく趣を異にし、刃渡約一〇糎、刃巾約二糎にして刃の先端附近が丸味を帯び切先が尖つた極めて鋭利な刃物であつて、刃を覆つている柄を左右に開いて装置にかかる止金でとめると両方の柄が一つになり、刃の部分は固定して折込不能となる構造を有するもので、あいくちとその形状、性能において類似し、容易にこれを隠し携帯することができて社会通念上人の身体を損傷するの用に供される危険性があるから、たとえ店頭に販売されていた物であつても、なお銃砲刀剣類等所持取締令第一五条(行為時法)にいわゆるあいくちに類似する刃物に当るものというべく、又被告人が当時これをはいていたズボンのポケツトに入れて携帯していたことは挙示の関係証拠によつて認められる。原判決に所論の如き理由不備、擬律錯誤、事実誤認の違法は存しない。論旨は理由がない。

そこで刑事訴訟法第三九六条に則り本件控訴を棄却し、なお刑法第二一条を適用し当審における未決勾留日数を本刑の残刑(原審における裁定並びに法定通算にかゝる未決勾留日数を控除した残余の刑)に充つるまで算入し、当審における訴訟費用は刑事訴訟法第一八一条第一項但書に従い被告人をして負担させないことゝする。

よつて主文のとおり判決する。

(その他の判決理由は省略する。)

(裁判官 藤井亮 中村壮十郎 横地正義)

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